烽火書房「たやさない つづけつづけるためのマガジン」
Cover





烽火書房「たやさない つづけつづけるためのマガジン」
Cover
京都で一人出版社として活動する烽火書房の嶋田翔伍さんが企画・編集を手がける『たやさない』シリーズ。その第2弾となる本の装丁を担当しました。本シリーズは、創作活動への意欲の火を絶やさないための一冊として、自分なりのペースで活動を続けたい人や、ものづくりの世界に触れていたいすべての人を思い浮かべながら制作されています。 装丁にあたっては、シリーズ第1作目で嶋田さん自身が手がけた仕様を踏襲しつつ、より多くの人に手に取ってもらえるような佇まいを模索したい、というご相談を受け、嶋田さんとともに「どんな装丁がこの本にとって最善か」を丁寧に考えていきました。 装丁の方針としては、視線を引きつける華やかさや印象的なインパクトを意識しつつ、すでに確立されている仕様を、より無駄のないかたちへと洗練させる方向で検討しました。メインとなる装画には、「内容を直接説明するものにはしたくない」という嶋田さんの意向を受け、書き手として登場する5人の作り手たちを、5本の線の交わりと鮮やかな色彩で象徴的に表現しています。 装丁の仕様としては、第1作目と同様、手作業による断裁を採用し、切れ端が栞になる仕掛けもそのまま活かしながら、断裁幅やタイトルの配置など、細部を改めて見直しました。さらに新たな工夫として、カバーの折り返しを帯として兼用することで、帯の制作コストを抑える設計に。また、通常は箔押しを施さない部分にあえて金の箔を使用し、言葉を際立たせることで、「たやさない」に込められた想いを表出させ、手仕事ならではの直向きさを感じさせる佇まいに仕上げました。
Credit
アートディレクション, デザイン:
小林誠太
編集:
嶋田翔伍(烽火書房)
装画:
椎木彩子
クライアント:
烽火書房
事例写真:
川内章弘