電気こうたろう短編漫画ライブラリ 境界線の発明「青い町と赤い町」
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電気こうたろう短編漫画ライブラリ 境界線の発明「青い町と赤い町」
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烽火書房の新たな漫画レーベル「コミック サーチライト」第一弾として、詩と物語から唯一無二の世界を紡ぐ漫画家・電気こうたろうさんの短編漫画集第1冊目のデザインを担当しました。 本シリーズのタイトルは「境界線の発明」。常識と非常識、喜びと哀しみ、当たり前と異質なもの──相反する要素が交差するその先に、私たちの目に映る「同じようでまったく違う」風景が描かれます。 第1冊目となる『青い町と赤い町』は、平凡な「赤い町」と、特異な変化を遂げる「青い町」を対比しながら進む四コマ漫画です。ふたつの町に暮らす人々や日常の出来事が登場し、それぞれの“ちがい”が、世界の美しさを照らし出します。 誌面デザインでは、右側に吹き出しが並ぶ独自のコマ割りと、見開きで2つの世界が隣り合う構成を活かし、タイトルもあえて反復。静謐で詩的な余韻に寄り添うように、詩集のような余白を生かした佇まいを目指しました。 フォントは、装飾性のあるものではなく、電気さんの世界観に共鳴するような軽やかで素直な書体を選択。絵に寄り添い、語りすぎずに世界観を引き立てる存在であることを大切にしています。 短編集のタイトル「境界線の発明」は、あくまでも作品群の背後にそっと添う存在として、発明の閃きの瞬間を模したシールで表現し、次作についてもシール貼りを共通ルールとすることでシリーズの“タグづけ”の役割を担います。文字は電気さんの絵のタッチに響く丸ゴシックを使用し、文字同士の重なりと衝突によって“境界”を表現しています。 また本作は、編集の嶋田さんからの「漫画らしくない佇まいにしたい」「紙の本としての存在感を持たせたい」という要望を受け、タイトルデザインは小さく詩集のように添え、仕様は、手作業でしか実現できないゴム紐綴じのカバーを採用。印刷は特色銀刷りで絵の祝祭感を強調し、さらに通常は本文用紙に使われる薄手の「モンテシオン」をカバーに用い、折ることで強度と機能を両立させました。 この“折る”という構造を活かし、カバーは同時に小さな絵が特徴的な電気さんの絵を逆に大きく扱うことで新たな絵の魅力の可能性を感じさせるポスターとしても楽しめる仕様となっています。